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県民総合活動センター・平成11年度あすなろ塾リーダーコース
    男女共同参画社会の意味と条件を考える
                〜21世紀の課題と新しいリーダー像〜
   をテーマーに山岡熙子先生(元山梨学院大教授)にゼミナール形式での
   ご指導を頂きました。
   すてきな仲間に恵まれ、楽しく終了論文を作成することができました。
   本文(36×34=4枚以内)を掲載しました。
   感想・ご指摘等頂けましたら幸いです。

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真の男女共同参画社会の実現に向かって
目 次

ICO_191  概 要

ICO_191  はじめに

ICO_191  日本的雇用システムの変化

ICO_191  地域産業の変化と大競争期の生き残り戦略

ICO_191  男女雇用機会均等法と男女共同参画社会

ICO_191  おわりに

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概 要

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概 要

 日本三代曳山祭の一つ、秩父夜祭の女神は秩父神社であり、男神の武甲山は、セメント原石の宝庫・三輪鉱山でもある。
 明治維新のリストラの影響で土建屋となった曾祖父が、各地を回りこの地に留まったのは、この山の原石採掘の仕事を一手に請けたからであり、発破の音を聞いて育った私にとって、地域を代表するこの企業の変遷;景気低迷下の切実な現状;今年の男女雇用機会均等法改正等が、Aチーム「労働と生活」を選択した理由である。発表と小論文は別でよいとのことであったが、そこから脱却できず。 この講座参加の課題であり・目標としていた「男女共同参画社会の実現に向かって」を、労働関係の中から探ってみることにした。
 目次の通り、日本的雇用システムの変化の中で・地域産業の変化と、大競争期生き残りを賭けた経営戦略が、個の生活にどのような影響を与えているのか 。
 雇用機会均等法の改正は、女性の経済的自立になりうるのか。
 ジェンダーフリーへの意識改革・発言と行動で、「平等・開発・平和」の真の共同参画の21世紀となることを願い、小論文作成にあたった次第である。

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はじめに
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1.は じ め に

 「世界行動計画に含まれる[共同参画]という考え方は、世界の流れを変えるために[あらゆる政策、あらゆる問題を一旦女性の視点で見る]という方法を含んでいる。」
 このセミナーに参加し、始めに感動したトーンの高い山岡先生の言葉である。
 日本の女性が参政権を得たのは、平塚らいてう氏等、幾多の女性運動家の活動はあったが、敗戦の恩恵による自動的取得のため、男性社会の中で、大衆は主張し行動することを怠ってきたと思うのである。
 限られた紙面で限界はあるが、女性が自分の生活を決定し支配する権利と能力を持ち、社会的・経済的・政治的な、政策決定の過程に十分に関わることのできる、方法と影響を検討してみたい。
 そのためには、意識と経済的自立が必要であると考える、そこで、今年の男女雇用機会均等法の改正が、女性の経済的自立になりうるのかどうか、日本的雇用システムの変化の中で、大競争期の地域企業の切実な現状も検証し、21世紀に向かって女性の意識改革と、真の男女共同参画社会の実現を考えてみたい。


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日本的雇用システムの変化
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2.日本的雇用システムの変化

 戦後我が国の経済・社会が、復興期・高成長期・安定成長期へと推移の中で、産業・企業は、戦前からの経営のあり方に加え、欧米先進諸国の思想や制度を学び、それを日本の社会風土に合うようなかたちで消化・吸収し、今日・日本的経営といわれる「経営と労働の」仕組みを作り上げてきたのである。
 日経連では1992年8月「これからの経営と労働を」考える報告において、日本的経営の基本理念として「長期的視野に立った経営」と「人間中心(尊重)の経営を」提唱したのである。
 その後、低成長に移行、労働力不足から過剰へ、円高による産業・雇用の空洞化、国際化の一層の進展、規制緩和・市場開放への要請、高齢化・従業員意識の多様化など、経営環境は大きく変化し、この2つの理念が引き続き、我が国企業の基本的経営理念たりうるかどうか等を検討するために、1993年12月プロジェクトを発足させた結果、今後もこの2つの理念は普遍的な性格を持つものであり、深化を図りつつ堅持していく必要があるとの結論に達したのである。
 欧米先進諸国は日本的経営について、終身雇用慣行・年功賃金制・企業別労働組合の3つを、象徴的な特徴と捉えているが、基本的な経営理念は、従業員を大切にしていくということに変りはないが、雇用は流動化の動きにあり、今後の雇用形態は長期継続雇用という考え方にたって、下表の3グループに動いている。
グループ別に見た処遇の主な内容

グループ

対象

賃金

賞与

昇級・昇格

福利厚生

雇用形態

退職金・年金

長期貯蓄

能力活用型

管理職

総合職

技術部門

の基幹職

月給制か

年俸制

職能給

昇級制

定率+業績

スライド

役職昇級

職能資格昇格

生涯総合施策

期間の定め

のない雇用

 

ポイント制

高度専門

能力活用型

専門部門

企画運営

研究開発

年奉制

業績給

昇級なし

成果配分

業績評価

生活援護施策

 

なし

有期雇用

雇用柔軟型

一般職

技能部門

販売部門

時間給制

職務給

昇級なし

定率

上位職務への転換

生活援護施策

 

有期雇用

 

なし

 

 いずれも要員は少数精鋭、必要なときに必要な人材を確保するという、企業と働く人のニーズがマッチしたところで、雇用関係が成立するのである。
 大競争期の今日、時代の諸環境の変化に柔軟に対応し厳しい環境の下、賃金制
度全体が見直され、年功的定期昇給制度から、能力・業績・成果重視の人事評価
制度が導入され、労使が痛みを分かち合って真剣に取り組み、国民全体にとって
どのような経済・社会がもっとも望ましいか、企業経営の存続と、従業員の豊か
さを両立させるために、真剣に検討される課題が将来に向かって山積である。

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地域産業の変化と大競争期の生き残り戦略
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3.地域産業の変化と大競争期の生き残り戦略

 日本的雇用システムの変化は、地域産業にどのような変化と影響を与えたか。
 大競争期に突入し、切実な現状を身近な声に実感し、探りながら考えてみた。
  「秩父町出はずれくれば機織の唄ごゑつづく古りし家並に」と、大正9年、
若山牧水が詠った秩父は、秩父絹で知られ、各地から買い付けに訪れるバイヤーで紡績業が全盛を極め、それと共に花柳界・製材業・セメント産業で活気に満ちていたが、反面、雇用は小学校も卒業しない内から、住み込みで働く女工達は、ドラマ女工哀史に見るような状況もあり、貧富の著しい食糧難の時代には、家族のために必死に働き、肺を病んだ人も多かったようである。
 敗戦により、義務教育途中の子供は職場から学校に戻り、高度成長期へと進む。 昭和30年代は、子供の教育・マイホーム取得等で共稼ぎの時代となり、女性中心の「パートタイマー」労働法が導入され始め、女性の社会進出が始まる。
 低労働力を求めて企業の海外進出、輸入のコストダウン等企業形態も変わり、街には和服姿が激減、機屋は数件残っただけ、料亭も芸者衆も姿を消し、材木関係も、山大尽とまで言われた山も評価額はガタ落ち、下刈りや手入れをしないため、伸び放題の状態で、杉花粉による鼻炎の原因まで作ったと考えられる。
 機屋も廃業か、精密機器に職種替えをして生き残り、金の卵とか・東北地方からの集団就職の若者で華やいだ寮生活の雇用が続くが、集団就職を迎え入れた上野駅18番ホームもなくなり、景気不透明な世紀末にふさわしいかのように、精密機器関係も大手は撤退、下請けは閉鎖・縮小で、雇用の継続を望む女性も単身赴任あるのみ、ハローワークの前は路上駐車で大変な状況である。
 豊かなバブル時代は、脱サラ・フリーター等、次々と仕事を変へ自分のVerUPを目指す風潮もあったが、現状は、会社存続のためのリストラか出行であり、時代の変遷と終身雇用崩壊の姿が、次の会社を例に見ると明らかである。
 大正13年創業以来、入社により社会的信頼と、生涯安泰との企業が、平成6年・10年と2回の合併で、業界世界2位の大手企業となったが、雇用は海外、関連企業への出向、離島へ3年から5年間の期間雇用、その後はどうなるのか。
 会社生き残り戦略の嵐が、個々人の生活に吹き捲っているのである。

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男女雇用機会均等法と男女共同参画社会
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4.男女雇用機会均等法と男女共同参画社会

 日産自動車の21,000人のリストラ決行・不動信用金庫の172人の解雇等々、キャリアある企業戦士が「アップアップ」の雇用現状下で、改正された男女雇用機会均等法は、その意図に反し、働く女性にますます厳しく、女性の経済的自立の阻害要因となるのではないかと、懸念されるのである。
 男女雇用機会均等法(雇用の分野における均等な機会・待遇の確保・福祉の増強に関する法律)は、女性差別撤廃条例の批准の条件整備の一つとして制定され、1986年4月から施行された法律である。
 しかし、肝心の募集・採用については、事業主に努力義務しか課されていなかったため、不況期には女性に対する露骨な採用差別などがあり、施行から10年足らずのうちに、労働省は新たに指針を出さなくてはならないほどであった。
 1994年・1997年の改正を経て、1999年に改正された均等法は、募集・採用・配置・昇進・訓練に関する均等な取扱が事業主に義務化されたが、定年、退職など全てに関し、依然として罰則規定は設けられていないのである。
 このため、実質的には結婚退職制・出産退職制を強行している事業主も多く、結婚、出産で退職しない女性に対する嫌がらせや、女性全体に対する、セクシュアル・ハラスメントも、話題の大阪知事など多々問題になっているのである。
 男女雇用機会均等法が生んだ新たな差別として、管理職を目指す総合職と、一般事務職との賃金・待遇差が、女性同士の新たな軋轢を生じさせることもある。
 また、一般職の女性を派遣労働に変える、使い捨て指向の増加も心配される。 深夜労働・時間外労働・危険有害業務の規制廃止が、家事に対する責任を軽減するものでなく、オーバーワーク状態になり、このような要因が、数年後男女の平均寿命まで逆転する、とまで、いわれているのである。
 女性が一層社会進出の促進に取り組み、能力・業績評価を適正に処遇にリンクされ、経済的に自立していくことは、人間尊重の経営理念の深化でもあり、日本的経営システムの2つの理念を堅持していくことであり、ひいては男女共同参画社会のステップアップに繋がるものであると、確信したいものである。
 真の男女共同参画社会実現に向かって、より以上女性の保護を厚くし、就労機会の拡大を阻害する法律の、ますますの改正が必要だと考えるのである。

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おわりに
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5.お わ り に

山岡先生の新雇用管理論に、「男女平等参画が社会改変の手段とされる意味が
あるならば、女性の意志決定参加率を50%に近づけなければならない
」との記述があり、感銘するとともに、しっかりとジェンダーフリーの意識を持ち、発言し行動していかなければと、熱い思いを新たにした次第である。
このセミナーで学んだことをタタキ台として、生涯学習を積み重ね、機会ある限り地域に広げ、21世紀が輝かしい男女共同参画社会になることを願いたい。
 最後に、男と女あすなろ塾リーダーコースの間・そして小論文作成に当たり、御指導頂きました、山岡先生・岡安担当に心から感謝申し上げます。

【参考文献】

  新雇用管理論     山岡熙子著         ()中央経済社発行

  新時代の日本的経営  新・日本的経営システム等研究プロジェクト著
日本経営者団体連盟発行

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citbul1d  作成2000年2月9日 

             

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